設立趣意書


 私たちの地域社会には、先人たちが生活や生業を通じて持続的に作成し、蓄積・継承してきた膨大な数の歴史的な記録、あるいは記憶が歴史資料として存在している。ところが、昨今の社会構造や生活様式の変化、経済や教育の格差拡大、自然災害の頻発による生活基盤の改変、ひいては生命・財産の危機などによって、これらの貴重な歴史資料が失われる機会が増加している。それは経済的な指標では表すことのできない文化資源の多大な損失である。文化資源を失うことは、人間らしく暮らすための、かけがえのない心と叡智の喪失に等しい。
 私たちはこのようなリスクから歴史資料を守り、地域の真の豊かさを未来に継承させるために、次の活動を通じて地域社会に貢献しようと思う。
 (1) 自然災害等で消失の危機にある歴史資料の救出・保全・記録作成
 (2) 次世代に継承していくべき歴史資料の把握
 (3) 県内及び周辺地域の住民への歴史資料防災の啓発や歴史研究活動の支援
 (4) 歴史資料の防災、歴史資料の保存、災害史などに関する研究
 (5) 全国の歴史資料ネットワークとの交流と相互支援
 歴史資料は地域の先人の、その時その時の情熱や愛情、使命感と努力、そして偶然によって、今ここに奇跡的に存在している。私たちの活動の原動力はその奇跡に対する敬意の念に発している。私たちは一人一人の敬意の念を職場や分野を越えて持ち寄り、次世代への継承という新たな奇跡につなげるため、ここに群馬歴史資料継承ネットワークを設立する。
 2020(令和2)年 7 月 12 日
   群馬歴史資料継承ネットワーク
    設立発起人
     青木 裕美  井坂 優斗  小野垣 はるな  小嶋 圭
     佐藤 有  中島 直樹  野口 華世  長谷川明則
     森田 真一  簗瀬 大輔